けものがれ、俺らの猿と

けものがれ、俺らの猿と [DVD]

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妻が留学してしまって以来どうにも物事が上手くいかなくなった売れない脚本家の佐志が、大物映画プロデューサーなる梶山という男や、訳わかんねえ田島とかいう男、そして猿のアンジーなどとともにてんやわんやするという話。町田康の同名小説が原作の映画である。
実は見る前から、「町田康の小説の映像化?まるで想像できない、っていうかつまらなくなりそうだ」とか勝手に思っていて、序盤、案の定シュールでやや寒い感じで、ああやっぱり……、と、期待していないと言ってるが実は心の底では期待していた自分が裏切られたような気分になり、ガッカリしかけていたのだけれども、梶山との超高速ドライブがカッコよくて、おっ、と思い、さらにその後に登場した鳥肌実の演じる田島を見てぶっ飛んでしまった。驚愕。鳥肌実すごすぎる。怪演。壊演。まさに狂気。あの鳥肌実の演技を見るためだけでもこの映画を観る価値がある。その後の喫茶店での永瀬正敏もなかなかだった。
町田康の小説は文体とか表現にその大きな魅力の一部があるわけで、それらが失われてしまう点でやはり映像化というのは難しいと僕は思うのだが、この映画はそれに挑戦したという点がよいと思う。何でもやってみないことにはね。他人に薦めるような映画ではないけれど、町田康の原作が好きな人は試しに見てみてもいいのではないかと。原作読まないで観るのはきつそうな気がする。でも最後にまた言ってしまうのだが、僕は鳥肌実のあの演技が見れただけでもう大満足。本当に凄いよ、アレは。