ガタカ

ガタカ [DVD]

ガタカ [DVD]

あるものに対して、過度な期待を寄せている場合、それが仮にある程度その期待を満たすものであったとしても、その「過度な」期待を満たしていないときには、「思っていたよりもあまり面白くなかった」という後ろ向きな感想を抱くことがある。逆に、さほど期待していないものが意外にも良かった場合には、面白いもの、として印象に残る。さらにそれ自体が本来素晴らしく良いものであったなら、なおさらである。そして喜ばしいことに、この映画は後者であった。
今よりもちょっと先の未来。遺伝子によって全てが決まってしまう世界で、遺伝子操作をせずに生まれてきた「神の子」である主人公。彼は生まれつき「何も出来ない」というレッテルを貼られ、社会の最下層として生きている。しかし彼には宇宙飛行士になりたいという夢があった。そしてその夢を何とか叶えるべく、彼は「ある事」を行う……、という話である。
後ろを振り返るな。とにかく自分を信じて前に向かって突き進んでいけば、きっと道は開ける。というのは、割と手垢のついた感じのメッセージかもしれないけれど、努力の入り込む余地のほとんどない徹底的な遺伝子による差別社会という舞台の中で描かれたことで、このテーマがより心に染み渡るものになっていた。海のシーンとかとてもいい。
「どうせ……なんだから」という言葉が口癖になってしまっている、例えば僕のような、そんな人にオススメしたい映画。ぜひぜひ。