フランケンシュタイン  メアリー・シェリー

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

レポートのために読んだのだが、面白い本だった。巻末の解説にもあるように、色々と示唆に富んだ本で、これからの読書にもいい意味で影響を与えてくれそうな予感がする。読んでよかった。この作品内で挙げられた多くの主題の中で僕にとって一番興味深かったのは、「知識を得ることによる破滅」というもので、これはフランケンシュタインにも、彼の作り出した怪物にも共通していた。僕が「『井の中の蛙』問題」(大海など知らず、ずっと井の中の蛙のままでいたほうが幸せなのではないだろうか、という問い)と心の中で勝手に呼んでいるものに対する一つの回答がこのような形になるのだろう。でも、知識を得る、物事を探求するということをこの作品は必ずしも否定しているわけではなくて、それは最後、ウォルトンの船の船員たちに対するヴィクターの熱弁の中にうかがうことができる。やはりどちらがいいとは簡単には言えないのだ。難しいね。
ずいぶん古い本なのに全然色褪せておらず、今読んでも十分に楽しめる本だった。今度解説の中に登場したSFなんかを読んでみることにしよう。