少なくとも200倍の叫び

「ぅいっよーっしッ!!!」左斜め前方で、赤ら顔の親父はそう叫んだ。手元を確認し、再び目の前の巨大スクリーンに目をやると、「ぅいっよーっしッ!!!」と繰り返す。そして彼は歓喜と驚きと興奮が入り混じった、それはもう何が何だかよーわからん顔で建物の中へと消えていったのだった。――そのとき俺は思ったね。ああ、このおっさんは俺に勝負を仕掛けてるんだな、ってさ。ハハハ、上等。上等ッス。その勝負受けてやるぜッ!
と、そんなことを思ったり思わなかったりしたのは4月29日。そう、みどりの日!じゃなくて、泣く子も黙って赤ペン片手に競馬新聞にチェックを入れ始める天皇賞(春)の日だったのでございます。で、サムソンはぶっちゃけありえなーい、と友人と2人で言い合って速攻で切ってたサムソンが来やがり、どーんと沈んでいたときに件の親父のあのシャウト。間違いなく万馬券とってる喜び方だったんで(もしかして3連単?30マン?や、やべー)、そりゃあもう羨ましくて仕方ないわけで、ほんと参っちゃう。サムソンを速攻で切ってるあたりからして、もうなんか全然ダメじゃん自分っつーかやる気あんの?と自分で自分を貶してあげたい気分も親父のおかげで当社比1.5倍。うぬぬ、絶対近いうちにリベンジしてやるぜ!と心に誓ったのだった、のだが。それも今は昔。別の用事があったので買いはしなかったものの家で一応予想していたここ最近のG1はことごとく外しまくり。もうなんか自分がいかに無知でダメなのかを知るという無知の知の境地に達しかけて。もう自分なんて信じられねーです。どっかいきやがれなのです。と思って無心で新聞の予想をかなりアテにして買ったら今日のオークス取っちゃったりするからますます自分が信じられない。しかも取ったっつっても大したことないオッズだからなんだかなー、って感じだし。全然リベンジできてない。でも何はどうあれ取れたことは嬉しいのでよかった。まあ、プライドとかないからね。別に。
来週はダービー。とりあえずヴィクトリーとフサイチホウオーがガチすぎるっぽいので、3連単狙いでもう一頭探そうと考えております。しかし開催地じゃない競馬場は休みの日に行くのにもってこい。あの広々とした感じがたまらない。適度にレースを予想しつつ、のんびりできて、1日過ごせるので、行ったことない人はぜひ一度いってみるといいかもしれない。案外楽しいよ。