300

普通に考えたら明らかにおかしいんだよね。うん。おかしいんだけど、でも、なぜかそれをカッコいいと思ってしまう。それが不思議だ。というのがスパルタの戦士たちに対して抱いた感想だった。冷静になって考えれば、あの哀れな政治家の言ってることも決して間違ってないし、もし自分があの場所であの立場にいたとしたら間違いなく彼と同じことを言うだろう。――戦うとか普通に無理だから。ないから。300対十数万とかもはやギャグでしかないじゃない。冗談も休み休み言ってよハハハ。とまあそんな感じだろう。だけどもちろんレオニダスだって馬鹿じゃないからそんなことは当然わかっていて。わかっているけど、でも、それでも戦う。なぜなら、それがスパルタだから。この結論について、理屈をつけてどうこう言ったって何も意味はない。だってそこにはもともと理屈もなにもないのだ。実際にその姿を見たこともない神を信じる人間と同じように、彼らは、スパルタ、という漠然とした何かに依拠して戦う。ルールに従って。それは今の僕から見れば、とても馬鹿げたルールだし、ありえないわー、などと思ってしまうけれど、でも、僕は彼らをカッコいい、と思ってしまう。何故なんだろう。何となく、彼らに『迷い』というものがないからではないか、などと思ったが、やっぱり違うような気もする。うーん、よくわからない。でもまあ理由については後でまたじっくり考えればいいとして、とりあえず今確実に言えることは、いずれにせよ、彼らは間違いなくカッコいい。それだけだ。

300<スリーハンドレッド>特別版(2枚組) [DVD]

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