捨てる

実家がリフォームをするということで、実家に置いてきた物を色々と処分してきた。自分は物を捨てることができない人なので、本を初めとしてかなりの物が残っていて途方に暮れたが、何とか終わらせた。万物に神が宿る、というのが神道の考え方だと前に聞いたことがあるが、神が宿っているかどうかはともかく、捨てた物の中には少なくとも俺自身は含まれているように思えた。開かずの押入れや机の引き出しにしまわれていた物のひとつひとつを捨てようとすると、「ああ、これはあのときああだったなあ……」と色々なことが思い出され、その都度それを捨てることに躊躇してしまう。10数年前のものだったりしても、結構色々なことを覚えていたりして、人間の記憶力ってすごい、と驚いたりもした。とはいえ、捨てなきゃどうしようもないので、かなりの量の物を捨ててきた。正直、凄く残念だと思う部分がある反面、体が軽くなったような気もする。いまはどちらかといえば捨てたくなかったなあ、という思いの方が強いが、物がなくなればやがてそんな思いも薄れ、忘れてしまうことだろう。
古いゲーム機のようなものなども処分したのだが、掃除が終わった後にゴミ捨て場を見てみると、チャリに乗ってやってきたおっさんが何やら工具を取り出して、俺が捨てた機械類を色々と分解していた。多分、銅線とかそういう金属を回収しているのだろう。それでいい。俺自身が含まれた物がそうやっておっさんによって回収され、リサイクルされ、全く別の物となって、日本で、あるいは別の国のどこかで、何かを成しうるというのは、想像するだけでも面白い。