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理解を超えた凄さ(東田直樹「自閉症の僕が飛びはねる理由」)

何か月か前にNHKのドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」を見て、この著者のことを知った。自閉症である彼は、母とのトレーニングによってパソコンや文字盤を通じた意思表示が可能になり、さらには本まで書いているとのことだった。それは僕自身が有する自閉症についてのイメージを覆すものだったためその本にも興味を持ったものの、当時忙しくなかなか本を読む余裕もなくて、とりあえず図書館に予約だけ入れていたところ、先日順番が回ってきたとの連絡がきてようやく読むことができた。
正直な感想としては、全体的にちょっと話が美しすぎるなと感じた。それは色々な場面で登場する詩的な表現のせいかもしれないけど、「きっとこうあってほしい、こうあるべきだ」という思想があるように感じられ、いまいちリアルに感じることができなかった。筋ジス患者・鹿野氏と、それを24時間体制で支える介助ボランティアの交流を描き切った、渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ」の中で描かれていた鹿野氏の姿のように、人間ってもっとこう色々あるんじゃないかなと思うんだけど、でもそれは、Q&A形式というこの本の構成のせいもあるのかもしれないし、あるいはこの本に描かれていることが、単純に僕の理解を超えていることだからリアルに感じることができていないだけなのかもしれない。
あと、中2(執筆当時)で自らを客観視してこれ書けるのは単純にすごいなと思った。この本の中に、本当は長い本を読みたいんだけど読むことができず普段自分で本を読むときは絵本を読んでいるというようなことが書いてあったりするので、にもかかわらず色々な比喩表現なども駆使して客観的に自らを描ききる姿はにわかには信じがたいが、とても凄いことだと思うし、その凄さは日本だけでなく外国の自閉症の子供を持つ人々をも救っているとのことなので、これからもそうなっていくとといいなと願っている。

自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心

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