ロックンロールミシン

ロックンロールミシン [DVD]

ロックンロールミシン [DVD]

先日テレ東で深夜放映されていたのを録画してあったので観ました。8ビートを刻むミシンで生きようとする男と、そんな男に夢を見た男の話。
サラリーマンである自分の日々に満足しきれていなかった主人公が、好き勝手楽しそうにやっている3人と会って、葛藤する様子がとても上手く描かれていた。この主人公が思っているようなことを感じたことがある人は多いのではないだろうか。普段のつまらない日常から抜け出して自分の好きなことを思う存分やれたらどれだけ幸せなことだろう?と。でも、会社を辞めてその好き勝手な世界に飛び込んだ主人公を最終的に待ち構えていたのは、破綻だった。仲の良かった仲間はバラバラになってしまい、主人公も結局、自分のいた場所に戻っていく。救いがない、と思うかもしれない。実際、現実の世界に救いなんてないのかもしれない。
「一度ゼロにしなきゃだめなんだよ!」そう言って、リョウイチは自ら作った服にハサミを入れた。カツオもツバキもそうせざるをえなかった。だけど主人公のケンジはそれが出来なかった。希望とか夢とかそういったものを再び捨てたくなかったからだろう。だけど最後に流れるニュースが若干の希望をケンジに与えていた。STROBO RUSHの服を着た彼らの笑みはモニター越しだとしても確かにケンジに届いていた。たとえどんなに意味のないことだと思ってもそれは決してゼロにはならない、ゼロじゃないんだ。そう信じることの出来たケンジはきっと成長したのだろうと思う。
よい青春映画だった。面白かった。