ビルってる都市に向かって突っ走れ
世界中を駆け抜ける偏西風に乗って過去最大規模・記録的豪雨などとマスコミに様々な話題を提供し続けている台風が南の方から我が関東地方にやってくるということで、昨日今日と家の中に篭って友人から借りたZのDVDを観てエマさんにハートブレイクされてみたり阿部和重のインディヴィジュアル・プロジェクションとニッポニア・ニッポンを2冊立て続けに読んで良質な精神系(妄想系)小説家を発見したと感動を覚えてみたりしていた(しかも書評が東浩紀氏と斉藤環氏だというね。ああ素敵だ最高だ)。一方台風はといえば僕がそんなことをしている間に結局北へ北へと逸れていってしまい、どうやらこっちには来ないらしい雰囲気である。雨も全然降っていない。おいおいそれなら2日間も家に居るんじゃなかったと一瞬思ったりもしたけれど、台風が来ようが来なかろうが普段から家に引き篭もっているので何も問題はないということが3秒後くらいに明らかになり、決して青春時代の貴重な2日間を無駄にしたわけではないということを理解した僕はほっと胸をなで下ろしたのであった。
さて、合宿から帰ってきて以来もう10日以上ずっと家にいてだらだらと何もしないで過ごすという日々を送っているわけだけれど、この堕落した怠惰な日々に早くも飽きつつあるというのが現状である。いや、飽きつつあるというか何故かあまり楽しめない、と言った方が正しいかもしれない。好き勝手に本を読んでゲームやって音楽聴いたりして眠くなったら寝る、という素晴らしい日々をどうして心から楽しめないのだろう。ここ1ヶ月以上ほとんど稼動していない腐った脳を使って考えてみると、この休息が有限であるということがわかっているからではないか、などと思った。大学生の夏休みは中高生のそれよりは長いのは確かであるけれど、もちろんのことながら永遠ではない。あと1ヶ月もしないうちに秋学期が始まってしまうのである。そしてその後はリクスーという戦闘服を身に纏い、はい!私は自由で風通しのよい御社の社風に惹かれてうんぬんかんぬんなどと顔に引きつった笑顔を浮かべながら心にもないことばかりをペラペラと明朗闊達に喋らなくてはならないのである。明朗闊達な喋り方ってどんな喋り方だよ。知らないよ。考えただけでも頭が痛くなってくる。多分文系ダメ大学生の誰しもが直面するこの問題に僕も頭を悩まされているせいで、この夏休みを十分に楽しむことができないのだろう。ああ、我ながらチキンである。しかし新卒で就職できないと既卒での就職活動はえらく厳しいものになるらしいので、もともとやる気のない僕のような人間は絶対にこの機会を逃してはならないと思う。確実にどこかしらの正社員の地位を得ないといけない。一度ニートになってしまったらそこから這い上がる自信は僕にはない。というか簡単にニートから這い上がれるガッツのある人間は初めからニートになんてならないだろう。冷凍都市のロジウラで野垂れ死なないためにも僕は頑張らないといけない。僕は普通に働いて普通にお給金を頂いて普通に慎ましやかな生活をしないといけない。ずっとアウトローに徹することができるほど強くはないことはわかっているんだから。
……とは言ってみるものの、やる気はでない。真剣さがかけているのか。ぐーたらし過ぎて本当に脳が腐り始めているんだろうか。気分転換が必要だ。カメラを持って自転車に乗ってどこかに出かけてみようか。海?海かな。