リンダリンダリンダ

リンダリンダリンダ [DVD]

リンダリンダリンダ [DVD]

「女子高生4人によるガールズバンドが高校の文化祭でブルーハーツを演る。」
この一文だけ見ると、僕なんかは超ハイテンション青春爆走ムービーを想像してしまうのだが、これは全然そんな感じの映画ではなかった。てっきりそういうやつだろう、と高をくくっていた僕は、肩透かしを食らったような気分になった。でも、それはいい意味での肩透かしで。割と淡々と進んでいく物語は、何ともいえぬ心地よさを含んでいて、背伸びしない、リアルな高校時代というものを感じさせてくれる。文化祭でライブをやる、という大きなテーマに沿って進むその脇では、友人との確執や、好きな人への告白などといった、いくつかのな要素もあって、それらも一緒くたになって、より深みを増している。屋上での会話とかいいねー。よい。ただ、最後のライブはちょっと人多すぎなんじゃないか。一応突然の雨でみんなが体育館に集まってくる、という設定はあるものの、校舎に行く人も沢山いるだろうからやっぱり多すぎると思うし、それにあそこの場面だけそれまでの物語のテンション・テンポと違いすぎた。そのギャップは狙いなのかもしれないけど、せっかくあの絶妙なローテンション・スローテンポで進めてきた物語なんだから、最後もその調子でやってくれればもっとよかったなあ、と思った。
ギター役の香椎由宇が、ビジュアル的にもああいう冷めててツンツンとした役柄が似合ってて、よかった。こう、凛とした、というか、独特の雰囲気がある。好きです。でも前にグータンヌーボに優香とギャル社長と3人で出ていたときに、「普段からこういう感じだから、おこってると勘違いされて困る」とか言ってたので、あーあんな綺麗な人も苦労があるのか、と思ったものだった。しかし自分より年下とは思えない。
あと、ソン(ぺ・ドゥナ)の韓国コーナーを一緒にやってた先生がなんか気になった。でもまあ文化交流というか、人との交流って、別に知識を知ることだけが大切というわけではないだろうと思うし(もちろんそれはそれで大事だと思うけど)、バンドをやったソンのことをあの先生が歓迎してくれているといいのだが、などと、「3時半バンドやります」と大きく上から書かれている展示物を、一人、ぼんやりと眺めている先生を見ながら思った。
見る前の想像とはけっこう違う映画だったけど、面白かった。この映画は最後のライブがメインじゃなくて、それまでの日々とかがメインの映画だと思う。