仕事
ここ数日は適当に映画を観てバイトを適当にこなし適当な量の酒を飲んで眠る、という、実に適当な日々を送っていた。無駄にハイテンションになったり無駄に落ち込んだりしながら、まあ何とか日々過ごしている、という感じである。先日高校のクラス会に出席したと書いたのだが、そのときに同じクラスではないけど同学年でしかも同じ大学同じ学部のやつが司法試験に在学中に受かったという話を聞いていて、ああ大学でそうやって何かを積み上げて社会において確固たるポジションを、確固たる知識を獲得するという結果を残した人間もいるのに、それに比べて俺は一体何をやっているのだろうか…、とその話を思い出して凹んだりしていた。その一方でDVDを観たり本を読んだりして「ああ、なんて面白いんだ!こんなものを味わうことが出来るなんて、生きていてよかった!」と自らの生に対して感動したりもしていた。つまるところ、まあそういったことを考えるくらいに暇な日々を過ごしていたということである。こんな自堕落な日々を送っているような人間がはたして働けるのだろうか、とこれまでに何度となく自問自答している問を再度繰り返してしまう。頑張れる気がしない。
しかしなんでここまで仕事に対してネガティブなイメージしか持てないのか、と考えてみると、多分それは自分の父の仕事風景が大きく影響しているのではないかと思う。父はいつも朝9時ごろに家を出て、夜は夜中の1時とか2時に帰ってくる。泊まることもそれなりにある。ある時期には帰りの時間が夜の11時ごろになることもあるが、大抵は日付が変わってから帰ってくる。そういう父の姿を見ているので、仕事というのはどの仕事もそれくらい大変だと思い込んでしまっているふしが自分の中にあるのである。もちろん、そんな毎晩仕事ばかりではないという話も色々と聞いているし、僕が大学から家に帰る6時くらいの電車にそれなりの数のサラリーマンが乗っているということからも、普通に残業とかがあまりないサラリーマンという人種も存在しているということは頭では分かっているのだが、仕事、というとどうしてももっとも身近な社会人である父の姿が頭の中に浮かんできて、仕事=毎日深夜帰宅=キツイ、という式が成り立ってしまうのである。それで不安になっているのだ。やはり自分の目で確認したことや、実際に自分で体験したことでないと信じられないのである。来年就職する予定である企業ははたしてどんな感じなのだろうか。「ウチはそんなにキツくないよ。残業もほとんどないし」と人事の方は仰っていたが、残念なことにそんな言葉を鵜呑みにするほどピュアではない。でもその言葉に若干の期待を抱いている自分もいる。ちょっとくらいの残業だったら全然大丈夫なので、それくらいで収まってくれればいいなあと思う。初年度から毎晩深夜帰宅とかだったら本当に辞めると思う。辞めてどうすればいいのかなんてことは何も考えていない。その場しのぎ。終わってる。っていうか同じ高校から同じ大学同じ学部に進学したって、片や法曹、片や仕事が楽だといいなあと悩んでいる体たらく野郎、この格差は一体何なのか。この数年でどれほど自分は腐り果ててしまったのだろうか、……などと考えるとキリがないのでこのあたりでやめておくことにしようと思う。他人との比較なんてどうでもいい、ってことも頭では分かってんのに、こんなことを考えてしまうんだからやっぱり他人と自分とを比較してしまうんだよなあ、俺は。あああ、もう。もっと自分に自信を持たないといけない。持てないけど。そんな要素は見つからない。