スラムドッグ$ミリオネア

トレインスポッティングの監督の最新作ということで(トレインスポッティング好き。DVDも買った。)、いつも行ってる地元の映画館じゃないちょっと離れた映画館まで観に行ってきた。面白かった。場面場面で、生というものの生々しさというか、そういうものがありありと伝わってきて、何度となく身を乗り出しそうになった。一番後ろの席に座ったので、周囲に迷惑はかけてないだろう、多分。主人公のジャマールは子供の頃から今にいたるまで常に命からがら生きているが、それがゆえに生きているということの凄さや悲惨さがくっきりと表れてくる。それは、僕のように平坦な日々を過ごしている人間からすると、生きてるって凄いな、とただただ感心せずにはいられない。しかし、当然のことだが、僕だって間違いなく生きているのである。ラストで、ジャマールとその兄であるサリームはあるものを違う形で手に入れることになるが、獲得した方法は違うとしても、そしてその後の結果はまったく別の形になったとしても、それはまったく同じものに違いないのだ。そして、ジャマールが生きていることと、僕が生きていることも、それはまったくもって同じなのであって、何の違いもないのである。普段はそれに気付かないだけで。
物語の中で、ジャマールがある少年と会話を交わすシーンがある。その少年は、ジャマールにも来たりえた未来を自らの現在としている少年であった。その少年は言う。
『君は運がよかった。僕はよくなかった。ただそれだけのことさ。』
そう、それだけのことだ。そこには、些細な違いを除けば、本来的には何の違いもない。
インドって行ったことはないのだけれど、きっとこの映画のようなことも現実にあったりするのだろうと思うと、正直考えさせられる部分も多い映画なんだけれども、それでも全体としてみればとても面白い映画に仕上がっているので、まだ観てない人はぜひ。おすすめです。DVD出たら買おう。