わたしを離さないで
何ヶ月か前に映画を観に行って、今日ようやく原作を読み終えた。が、正直よくわからなかった。読了後に原作のamazonレビューとかチラ見したらやたら絶賛されていて驚いた。そうなのか…。原作は序盤あまりにも読みにくくかつ退屈で、翻訳が微妙なんじゃないかとかすら思っていたのだが…。なんか作中のほとんどのことが曖昧に描かれていて、どれも具体的に明かされないまま、なんか雰囲気だけで終わってしまったという印象。クローンシステムの話とか、彼らの親の話とか、そういうことがすべてよくわからないまま終わってしまった。まあキャシーの一人称視点での小説だからキャシーが知らないことは書かれないのだとか言われればそれまでだし、あえてそう書いているのかもしれないけど。
あと一番よくわからなかったのは、なぜ彼らがあんなにすんなりと「提供」を受け入れているのかということ。逃げるやつとかいるだろ?普通に考えたら。システム的に逃げ切れないということなのか。確か小説では特に描かれていなかったけど、映画ではコテージに入る時になんかリストバンドみたいなもので認証していたから、もしかしたらどこにいても即座にわかってしまう仕組みになっているのかもしれない。でも、それでも、それでも逃げるだろう?それ以外の点は他の人間と全く同じなのに、なぜそこだけが違うのか。それも結局明かされないまま終わってしまった。うーむ。幼少期からの刷り込み教育のなせる業なのだろうか…。とはいっても成長したら外部と接触したりするわけだし、他の考え方を知ることもできるだろうし…。もしかしたら誕生の時点でなんか脳とかをいじってそういう疑念を生じさせないようにしてるのだろうか。で、トミーがたまに癇癪を起こすのは、トミーだけその脳の処理が上手くいかず何かが残ってしまっていて、時折その何かしらの感情の奔流が彼を包み込んでしまい、どうしようもなくなって暴れてしまうとか。
ということでよくわからないまま不完全燃焼で終わってしまったのであった。ただ、描こうとしてる雰囲気だとかそういうのは嫌いな感じではないので、他の作品も読んでみようと思う。とりあえずさっき図書館に行って『日の名残り』を借りてきた。
- 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: 文庫
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