アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

フランケンシュタインからの流れで。映画『ブレードランナー』の原作小説。以前ブレードランナーを観たあとに、この本を古本屋で見つけて購入し、積んだままになっておいたのを読んだ。積読も役に立つもんだ。
フランケンシュタインの怪物の場合、怪物は人間とは異なる形相をしていたため、人間たちから阻害され、孤独になっていったが、この作品では、文明が高度に発達し、人間と見分けがつかないようなアンドロイドが登場する。その結果、「アンドロイドと人間と、どこが違うのか」、しいては、「そもそも人間とは何なのか?」という問が明確な姿を持って現れてくる。人間とはいったい何なのか。わからない。自分のこともわからないまま生きている、っていうのは何だか不思議な気がする。自分の周りの色々なものに意味付与して生きているにもかかわらず、肝心の自分のことはよくわからない。結構いい加減なものだよなあ、と思う。
あと、作中にマーサー教という新興?の宗教が登場するのだが、あれがどうもよくわからない。次に読む際はこのあたりに注意を払いつつ読むことにしたい。
前半は若干退屈なんだけど、ローゼン協会でのフォークト・カンプフ実験あたりから俄然面白くなってきて、それ以降は目が話せない展開だった。面白かった。これでもう一度ブレードランナーを観返したら、また新しい発見がありそうだ。