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おつかれさま

帰り道、自転車置き場から出ようとするとその出口には自転車置き場管理のおじいさんがいて、自転車に乗って去っていく皆々に、もともと細い目をさらに細くして、おつかれさまと言っている。でも特に誰もそのおじいさんに注意を払うこともなく通り過ぎていくため、おつかれさまは宙に浮かんでしまう。でもそんなことにはお構いなしにおじいさんは次から次へとおつかれさまを繰り返すので、行き場のないおつかれさまで自転車置き場は満たされていて、なんだか悲しい気分になる。でも結局僕もおつかれさまに対してちょっと頭を下げたか下げなかったかわからないくらいの礼をして、その場を後にする。おじいさんは悲しいのだろうか、とペダルを回しながら考えたりもしたが、逆に全くそんなことは思っていないかもしれない。それは僕がいくら想像したところでわかりようもない。他人の気持ちなど完全にわかることなどないのだから、それについて必要以上に考える必要はない、あくまでも必要な程度で考えれば済むことだ、ということはいつも思っているはずなのだけど、なかなかそうもいかなくて、ついわかるはずのない事柄についてあれやこれやと考えてしまい、わくわくしたりかなしくなったりしてしまう。そういうのは疲れるから嫌なのだけど、でも、やっぱり考えてしまう。そんなことを考えている脳のどこかにふたでもしてしまえれば、どれだけよいだろう。