「東大経済卒」の十八年 鎌田慧
- 作者: 鎌田慧
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/12
- メディア: 文庫
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まず、読み終えて、というか読みながらも思ったことは、この本の中のどこかにも書かれていたが、彼らは学生運動の影響を非常に大きくうけた世代である、ということであった。全共闘だとか学生運動だとかというのは、例えば僕の好きな村上春樹の小説の中でもちらほら出てきたり、あるいは昔読んだ『僕って何』という小説などはまったくその話であるのだが、それらを読んでも内容はまあ分かるけど全然イメージできなかったし、今も出来ない。写真とかを見ても、へーそうなんだ、としか思えない。あくまでも歴史的な出来事、という認識でしかない。でも、これだけ色々なところで語られているのだから、やはりその渦中にいた人間には大きく影響したのだろう。学生運動に対するスタンスとか、その後の就職への切り替えみたいなものが人によって非常に様々なのが興味深かった。
また、これは東大生だからということも十分に関係あるのだろうが、就職活動風景がなんだか凄くて驚いてしまった。ふらっと会社に立ち寄ったら内定とか、ついこの間就職活動をした自分自身の経験を振り返ってみても、考えられない。でも、くだらないエントリーシートを書かせ、面接でくだらない志望動機を言ってこみゅにけーしょん能力を問う、などという今の就職活動とどっちがいいのか、といったら、どっちもどっちかもしれないなあ、とも思った。
あとはまあ、天下の東大経済を卒業しても、これだけ色々な人生があるのだから、これからダメ私大を卒業し、給与所得者となる己は、ぐだぐだ文句いってないで馬車馬のように働かなきゃいかん、と思った。思ったからといってそれを実行できるわけではないのだが。
最近、大量退職による2007年問題とか色々騒がれていて、また団塊の世代に注目が集まっているわけなのだが、この本に載っている人々は、今、どうなっているのだろうか。中には長崎屋の専務という人もいて、この本のインタビューの後、色々と大変だったろうなあ、と思ったりもする(余計なお世話だろうが)。でも、きっとほとんどの人はそれなりに元気にやっているのだろう。だって、人間、そんな簡単に死んでしまうものではないんだから。