米澤穂信

年末年始は大宮氷川神社に初詣に行ったりイオンレイクタウンに行ってそのあまりの広さと人の多さに驚いていたりしたのだけれど、それ以外の時間はほとんど本を読んでいたと思う。米澤穂信という人の本だ。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』/『春季限定いちごタルト事件』『夏季限定トロピカルパフェ事件』と5冊を読み終えた。とても面白かった。前半の3冊は古典部シリーズと呼ばれ、後半の2冊は小市民シリーズと呼ばれる。「自分はいたって普通な、平均的人間だ」と考えるが十分に普通でない福部里志をして意外性を秘めた人間だと言わしめる古典部シリーズ主人公折木奉太郎と、一方、自分は特別であると考え、その特別さゆえにもたらされた過去の出来事(いまのところその具体的内容は不明)から「小市民」を目指すことを決意した小市民シリーズ主人公小鳩常悟朗は、そのスタンスにおいて実に対照的だが、どちらのシリーズにも通呈する、この「自分は特別だ」とか「自分は普通だ」という、周囲の人間、世界と自分との折り合いの問題は、誰しも一度は考えてみたりすることなのではないかと思う。そういうのが好きな人はぜひ。
この5冊の中で一番好きな1冊を選ぶとすると、『クドリャフカの順番』と『夏季限定トロピカルパフェ事件』のどちらかで悩むんだけど、僅差で『クドリャフカの順番』かなあ。以前、秋山瑞人の『イリヤの空、UFOの夏』の旭日祭の話を読んだときも思ったけど、自分はこういった文化祭の話が大好きすぎると思う。多分、憧れがあるのだろう。