涼宮ハルヒの憂鬱 谷川流

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)
冒頭からあまり句読点を使わない文体で、ちょっと舞城を思わせたけど、舞城よりも読みにくい。多分それはそこにあまり目的がないからのように思う。まあそんなことは別にどうでもよくて、主人公キョンのスタンスがなかなか面白い小説だった。通常の主人公なら何かイベントに遭遇すると突然熱血クンになったりするのだが、キョンはそんなことはなくてそれでもひたすら坦々と生きる。そしてラストも世界をどうこうしたいってわけじゃなくて自らの獲得したモラトリアムを守りたいがために行動する。自分本位で刹那的で15歳にして既に現実に対して確固たる諦観すら持っているキョンのような主人公は僕にとって新鮮で面白かった。まわりの萌えキャラたちはさすがにあざとすぎるような気がしてちょっと萎えたけど。