羅生門
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2002/09/06
- メディア: DVD
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この映画はある一つの出来事に対する4人(3人+幽霊?)の話が全く食い違っている、と、そういう話で、芥川龍之介の「藪の中」という短編が原作になっている。原作と違うのは、映画では最後に4人目の発見者の話があること。これがあることで、映画はテーマが明確になってるように思う。
嘘、っていうのは嘘をつくつもりがなくても、つい口から出てしまったりすることは結構ある(のではないかと僕は思う)。嘘をつこうと思ってつく嘘もある。それは例えば自己保身の為だったり他人をかばう為だったり、まあ色々な理由がある。そんなわけで、世の中、嘘をつこうと思っていようがいまいが、割と嘘というもので満ち溢れている。だからといって純情に「人間なんて信じられん!」と言って家にひきこもってりゃそれでいいのか?というとやはりそうではなくて、それでも人を信じていくところに、そこに人間のよさがあるんだよね……、と、そういうことをきっと映画版羅生門はテーマにしたんだろう。一方小説のほうは、確か、「何がなんだかよくわからん、いったい何が本当なんだ?」というのが読後の感想だった。
ただ、どちらにも共通してる点、というか、まあどちらからも感じ取れることは多分、「本当のこと」なんてそんなに大したものじゃない。ということなんじゃないか。人の記憶なんて簡単に変わっちゃうものだし、「本当のこと」それ自体に価値はないよ、という。そうだよね。と僕も思う。